デビュー15周年を迎えた、安室奈美恵の全国アリーナツアー東京公演の模様を収録した『NAMIE AMURO BEST TOUR “LIVE STYLE 2006”』が2/20付デイリーDVDランキング(総合)で初登場1位を獲得。昨年3月発売の前作『SPACE OF HIP-POP -NAMIE AMURO TOUR 2005-』(音楽DVDチャート最高2位)を上回り、音楽DVDランキング制覇なるか、注目される。
約一万人の手拍子と奈美恵コール。やがて会場には壮大なシンフォニックが響き渡り、僕らの目の前にはダンサーとバンドを従え、歌い、舞う、安室奈美恵の姿。彼女の口元から囁かれたオープニングナンバーは『Violet Sauce』。紫色に染まったステージの上でとんでもない存在感を見せつける彼女にオーディエンス一同、失神必至の盛り上がりよう。そして彼女は上着を脱ぎ去り、『WANT ME,WANT ME』のカップリングに収録されていた『HANDLE ME』、SUITE CHICの『without me』など、これまでライブで披露する機会のなかったナンバーをここぞとばかりに披露。ステージ上の白い階段を闊歩しながら艶やかに安室は踊り続ける。その階段の最上段から彼女が突然姿を消すと、VERBAL&ArkitecのMCが。そして早くも今日3度目の衣装チェンジを施した彼女が歌い出したナンバーは『Fish feat.VERBAL&Arkitec』。正しく自身のリアリティをクリエイトしたナンバーを4曲立て続けに披露。そんなよりアーティスティックな安室奈美恵を体感した後は、誰もがこれまで何度となく耳にしてきたイントロダクションが聴こえ出し、会場がひとつに。この曲のタイトルは『a walk in the park』。もちろんサビはみんなで大合唱!彼女がステージ上を右へ左へ動く度に大声でリアクションするオーディエンス。この安室奈美恵の人を突き動かすパワーは、いつも思うことだが、すごい。
すっかり温まった会場に聴こえてくる『Say the word』。そして『Put 'Em Up』『ALARM』と、ここ二作品のアルバム『STYLE』『Queen of Hip Pop』に収録されていたシングルナンバーを立て続けで熱唱&熱演する安室。その創造力の豊かさと並々ならない技術とエネルギーを感じさせるダンスに僕らはただただ魅了される他ない。
オルガニックなサウンドと軽快なリズムセッション、そしてまるでお姫様のような可愛らしい出で立ちで現れた安室が歌い出したのは『no more tears』。安室奈美恵の持つキュートさを濃縮したかのようなこのナンバー、ライブテイクに性別を超えてオーディエンス一同、ノックダウン。誰もがその胸をときめかせたことであろう。そしてライブは再び“まさかライブで聴けると思わなかった”コーナー(勝手に命名)へ。シングル『ALARM』『Put 'Em Up』のカップリング曲『STROBE』『exist for you』を立て続けに披露し、ひとつひとつの楽曲への愛情深さを感じさせるライブパフォーマンスを展開。笑顔を見せる安室。
「楽しんでますか?改めて安室です!え~、特に話すことは何も(笑)」と言いつつも、今回のツアーの趣旨を説明しつつ、自分の名を呼ぶ声すべてに反応し、終いにはみんなに向けて大きく手を広げる彼女。サービス精神旺盛すぎ(笑)。彼女はそんな大好きなファンのみんなから圧倒的な支持を集めている名曲『Four Seasons』をやさしく歌い始める。彼女の頭上に無数の黄色いバタフライ。感動的な音楽と光景をその目と耳と心に焼き付ける僕ら。そして曲はそのやわらかい空気を残したまま、あのNOKKOのカバー『人魚』へ。これまたどこかの貴婦人のような美しい出で立ちで、真っ白になった世界の中心に立って歌われたこの名曲にも僕らはただただ感動。見事な熱唱ぶりであった。感動的な音楽はまだまだ続いていく。かつてVERBALと共に歌った小室哲哉プロデュースの反戦ソング『lovin'it』までまさかの披露!大事な人がそばにいること。大事なものがそばにあること。ちょっとだけでもいいから考えてみてほしい。そんなメッセージを凄まじい説得力を感じさせる力ある歌声でみんなに届けていく。これまで見たことも聴いたこともないほどの超・熱唱。安室奈美恵が持つパワー、能力はまだまだ未知数。飛躍的な進化・成長を今もなお続けていることを僕らは知った。
そんな彼女の凄さを知った後は『Drive』『GIRL TALK』と、等身大の、素の自分に近い表現が魅力的なナンバーが続く。確実に熱を帯びていく安室の動き。『CAN'T SLEEP,CAN'T EAT,I'M SICK』では、踊れる人もそうでない人も激しく踊り倒したい衝動に駆られるスパークしたダンスを披露した。
まるで紋章のような今回のツアーのロゴマークがステージに浮かび上がり、その真ん中にセクシーかつ情熱的な赤い衣装に身を包んだ安室奈美恵の姿が。そして彼女が歌い出したナンバーはJHETTの『Do or Die』。更には、SUITE CHICの大ヒットナンバー『Uh Uh,,,,,“feat AI』を、いつの間にかステージ上に存在していた巨大なジャングルジムの中で動き回りながら披露。そして曲はなんと『How to be a Girl』『WANT ME,WANT ME』の連続攻撃へ。ますます濃厚になる今宵の宴。かつて安室のライブでここまで振り切られたディープな熱さ、気持ち良さを感じさせる畳み掛けがあったであろうか。正に怖いモノなしの安室奈美恵。コアなファンであればあるほど顔がニヤけて仕方ないであろう最強のセットリストに加えて、『shine more』で聴かせた、まるで別人かと思うほどの超ソウルフルで情熱的な歌声(ぶったまげた!)。そんな彼女の今の状態を表すかのような真っ赤な光に包まれて安室は『the SPEED STAR』を圧巻の力強いライブパフォーマンスでもって披露。最後まで驚愕させっぱなしのショウを堪能させてくれた。
再び巻き起こる懸命な「奈美恵」コール。そしてステージに再登場するやいなや聴こえてきたのは『Body Feels Exit』!盛り上がらないわけがない。あらゆるリミッターを振り切るように歌い、踊り、心を重ねていく僕ら。凄まじい興奮と熱気、そして「嘘でしょ?」と言いたくなる『Chase the chance』への畳み掛け。安室と共にその腕を激しく振り上げながら熱唱するオーディエンス。その体に残されたすべての体力と気力を振り絞るように歌い上げる安室の姿にどこまでも舞い上がる僕らのテンション。そのライブの迫力ぶりはもはやU2やAEROSMITH、BON JOVIといったスタジアムロックバンドが生み出すそれと大差なし。その小さな体ひとつでよくもこれだけ、といった感じだ。